1987 年 7 巻 Suppl2 号 p. 78-84
電気的房室接合部破壊術による完全房室ブロック作製後の異所性自動能について検討した.経動脈性電気的房室接合部破壊術により房室ブロックを作製した雑種成犬26頭の通電出力と急性期および慢性期における右室ペーシング後の補充調律の回復時間, ブロック作製後6日間の補充調律頻度の変化を比較検討した.通電出力の大小により補充調律のQRS幅は左右されるが, その周期は影響を受けなかった.通電量が大きく, 且つ補充調律が遅いほど自動能の抑制が強かった.また, 硫酸アトロピン投与により異所性自動能が抑制されたことは, アトロピンが補充調律部位への進入ブロックを改善したためと考えられる.房室ブロック作製後6日間連続ホルター記録より補充調律頻度が徐々に減少した原因として, 下位のペースメーカー部位への移動および異所性ペースメーカーの固有頻度の減少が推測される.