心電図
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2. 房室回帰頻拍におけるリエントリー路の形成
加藤 林也鈴木 正之
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1989 年 9 巻 2 号 p. 165-170

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抄録

房室回帰頻拍 (AVRT) におけるリエントリー路の形成を検討するため, 副伝導路を有する例において, 心房の不応期 (AERP) と心房echo出現時の房室伝導時間 (AVCT) を検討した.顕在性WPW症候群の6例では, 副伝導路の順伝導が途絶し, AVCT (236.7±29.6msec) がAERP (211.7±24.8msec) より長くなった早期刺激時に心房echoが生じた.房室結節内二重伝導路を有する潜在性WPW症候群4例では, 全例でfast pathwayの不応期に一致して心房echoが生じた.AVCTはfast pathway経由時では208.3±24.7msec, slow pathway経由時では250.0±33.4msec, AERPは226.3±14.9msecであった.潜在性WPW症候群の13例では心房echo出現時のAVCTはAERPと近似していた (220.0±27.8vs226.3±31.6msec) .以上よりAVRTにおけるリエントリー路の形成には副伝導路での一方向性ブロックと, 心房筋の不応期を凌駕する房室伝導遅延が不可欠であることが確認された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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