心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
3. 潜在性WPW症候群の副伝導路における正伝導性のconcealed conductionの証明
鈴木 文男川良 徳弘田中 一司原田 智雄遠藤 岳金沢 芳樹沖重 薫平尾 見三比江嶋 一昌
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 9 巻 2 号 p. 171-179

詳細
抄録

潜在性WPW症候群のKent (K) 束は, 正伝導性にはインパルスを伝導しえないが, 正伝導性にconcealed conduction (CC) が存在するか否かは不明である.今回著者らは, 潜在性WPW症候群12例を対象として, 通常の心室期外刺激 (VE) 法 (通常法) と, 基本刺激として心房心室を同時ペーシングした後VEを与えるVE法 (同時法) を行ない, 各々の症例においてK束の有効不応期 (ERP) の値を比較した.
K束のERPは, 通常法による場合に比べて, 右房を同時ペーシングする同時法を行なった12例中5例でその短縮をみた.他方, 左房を同時ペーシングする同時法を行なった7例では, 全例でERPの短縮をみた.このK束のERPの短縮の機序としては, 基本ペーシング時における心房側からの潜在性K束へのCCの存在の故に, その不応期が“peel back”されるためということが考えられた.すなわち, K束のERPが短縮したという事実が, CCの存在を証明する証拠であると思われた.

著者関連情報
© 一般社団法人日本不整脈心電学会
前の記事 次の記事
feedback
Top