1989 年 9 巻 2 号 p. 205-209
非虚血性心室性頻拍の4症例で術中心表面マッピングを行ない, 臨床例でマクロリエントリー路の可視化を試みた.心表面マッピングは15チャンネル双極マット電極 (電極間距離1mm) での従来のコンピューター処理に加え, 遅延電位検出のため150~500Hzの直記式で行なった.この結果, 頻拍時拡張期の遅延電位は最早期興奮部位への再入波を形成しておりマクロリエントリー路の関与が推定された.回路の推定存在部位は症例1では左室心尖部, 症例2では右室流入路, 症例3, 4では右室流出路であった.手術はリエントリー回路の出口と考えられる拡張期の最も遅延電位検出部位の遅れる部位で, QRS波の最早期興奮部位を含めて行なった.これにより, 術後はこの回路を介すると考えられた頻拍は消失した.