心電図
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6. 外科手術例における心室頻拍の機序
―リエントリー回路の確認は可能か―
磯部 文隆藤田 毅小坂井 嘉夫大江 透
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1989 年 9 巻 2 号 p. 195-204

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抄録

外科治療の対象となる心室頻拍 (VT) の多くは, リエントリー機序とされる.陳旧性心筋梗塞 (OMI) 11例, 不整脈源性右室異形成 (ARVD) 7例, 特発性心室頻拍 (Idp VT) 2例の手術例において, リエントリー機序を担う興奮旋回回路が確認しえるものかどうか術前術中電気生理学的検査所見から検討した.
興奮旋回回路として, OMI例の前壁中隔梗塞や広範前壁梗塞例では, 小範囲での興奮旋回の出口である最早期興奮部位から周囲に波紋状に受動的に興奮伝播する興奮伝播様式を, Idp VT例では極小範囲内での興奮旋回が直ちに刺激伝導系を介して他の心筋に速く伝播する興奮伝播様式を示した.一方, 後下壁心筋梗塞例やARVD例では, 一見傷害部位の周囲を旋回する広範囲の興奮旋回様式を示したが, 旋回回路を担うと思われた瘤周囲や心筋に凍結凝固や心室切開を施行したところVTは停止せず, 結局小範囲での興奮旋回が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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