1989 年 9 巻 2 号 p. 265-272
薬剤抵抗性持続型心室頻拍に対し, 電極カテーテルを介した電気焼灼法 (electrical ablation, EA) を行なった症例を経験したので報告する.症例は57歳の男性で, 各種抗不整脈剤に対し抵抗性であった.類似した2種類のVTがみられその一方のみ誘発可能で機序はリエントリーによるものと思われ, その最早期興奮部位は右室流出路であった.一度目のEAはElectro-catheter Josephson 6F (4極) を使用し, 二度目はElectro-catheter Cook 6F (3極) を使用し, 全身麻酔下に直流除細動器より50J, 70Jで計7回行なった.EA直後に一過性の非臨床的心室粗動を認めたが, 一週間後の電気生理検査では持続型VTは誘発されなかった.EA後右脚ブロックとなるも重篤な合併症なく2ヵ月間VTを認めなかったが, その後に再発を認めた.EA後は薬剤の投与で約1年間再発をみないが, 適時検査を考えている.