抄録
特発性の右脚ブロック+左軸偏位型の持続型心室頻拍2例で, バルサルバ手技により再現性をもって頻拍が停止することを認めたので報告する.症例は40歳と15歳の男性で, 持続型心室頻拍を繰り返していた.心臓カテーテル検査を含む諸検査で, 器質的疾患は認められなかった.電気生理検査にて心室頻拍は繰り返し誘発と停止可能で, 早期刺激の連結期と最後の刺激から頻拍の第1拍目までの間隔は逆相関を示した.プロプラノロールは両例とも無効で, プロカインアミドとベラパミルはともに停止効果を認め, 発作時の頻拍レートも低下させた.ベラパミル投与下の頻拍レートの低下が最も著明で, このときのみバルサルバ手技が頻拍を停止させた.ベラパミル反応性の心室頻拍でバルサルバ手技が頻拍停止効果を有したことは興味深いと思われ報告する.