抄録
本研究では、2021年までに自然保育認定・認証制度を創設した鳥取県・長野県・広島県・滋賀県の4県における自然保育に関する研修の影響を分析した。4県の自然保育認定・認証を受けた就学前施設に勤める保育者を対象に質問紙調査を実施し、1,374名の回答が得られた。そのうち、自治体が主催する研修に参加した保育者の自由記述を計量テキスト分析で検討した。その結果、「子ども」「自分」「知識」といった語が自然保育の基盤となる共通の価値観や感覚を示していることが明らかになった。また、研修は保育者のスキルや知識向上に寄与し、価値観や考え方にポジティブな変化をもたらす可能性が示された。さらに、地域性や研修の種類による認識の差異があることも示唆された。本研究より、自然保育研修の多面的な影響を示し、今後の研修プログラムの設計や改善に寄与する知見が得られた。