抄録
本研究の目的は、子どもが自然と関わる場面において保育者はどのように見守っているのかを明らかにすることである。
調査協力者である森のようちえんのZ園に勤務する保育者(以下、Z園保育者)5名と、公立幼稚園のY園に勤務する保育者(以下、Y園保育者)7名を対象とした半構造化面接を行った。保育者の語りを質的データ分析の手法を用いて分析し、以下の知見を得た。
周囲を自然環境に恵まれたZ園保育者は時期や子どもの発達過程を考慮し、子どもの状態を把握しながら待つことにより、子ども理解を深め、ありのままに受け入れている。保育者は子どもが必要とする場面において、子どもに寄り添い共感的に関わっている。一方、周囲に自然環境が少ないY園保育者は子どもに発見する喜びを促したり、子どもの感情を言語化して子ども理解を深めたりしている。また、保育者は子どもへの過度な声掛けや子どもの状況把握のための介入を控えた上で、今後の援助内容を検討していることが明らかとなった。