2008 年 23 巻 5 号 p. 343-349
訪問看護ステーションにおける感染対策の状況を把握する目的で,質問紙による調査を行い,2004年に東京都の訪問看護ステーション134事業所,2005年には東京都を除く全国の523事業所から回答を得た.主な結果は,1) 感染対策マニュアルは東京都65.7%,東京都を除く全国77.1%の看護ステーションが保有しており,感染対策研修を行っている事業所は各々54.5%,70.9%であった.2) 手洗いの指導は東京都74.6%,東京都を除く全国では72.5%の事業所でおこなわれており,「石鹸と流水」に次いで,擦式消毒薬の使用が多かった.3) 訪問看護師への予防接種の勧奨は東京都85.8%,東京都を除く全国86.0%の事業所で行われており,インフルエンザワクチンはそのほぼ全部で実施されていた.4) 訪問指示書の中に感染に関する記載欄がないとする回答が東京都で53.0%,東京都を除く全国で52.2%を占めた.5) マニュアルの保有や研修の実施は,感染症と診断された利用者のいる事業所で,いない事業所に比較して多い,との結果を得た.
今後さらに増加する在宅医療において,看護職のみならず関連する職種間の組織的な感染予防に関する情報の連携と,従事者に対する感染予防教育の実施が必要であると考えられた.