2009 年 24 巻 2 号 p. 123-128
看護師を対象に携帯用擦式手指消毒薬の効果について検討した.携帯用擦式手指消毒薬導入群・非導入群を設定し,4週間毎で交代するクロスオーバー法で使用量の変化を指標に検討した.また,擦式手指消毒薬使用量に差がでる要因を,手指消毒を行う行動パターンの調査から推測した.さらに,擦式手指消毒薬の使用量と手荒れの関係について検討した.その結果,擦式手指消毒薬の使用量は携帯用擦式手指消毒薬を導入している時の方が増加し,擦式手指消毒薬使用の啓蒙効果が示された.しかし,どのような時に手指消毒が必要かなどまだ十分に理解しているとは言い難く,適切な場面での手指消毒が統一して行われていない可能性が示唆された.手荒れ評価として,皮膚レプリカ法,皮膚テープストリッピング法とアンケートを実施したが,手指消毒回数と手荒れの間に相関はなく,必ずしも使用量の増加が手荒れを増加させるとは限らない可能性が示唆された.