抄録
耐性菌サーベイランス開始以来,当院初のvancomycin-resistant Enterococcus (VRE)が患者の便から検出された.直ちにInfection Control Team (ICT)活動として,接触者リストを作成し,患者・職員の便培養検査と環境調査を実施した.初期介入として実施したスクリーニング培養はVRE検出患者と同時期に同病棟であった入院患者,医師・職員,環境の合計115検体を対象とし,このうち,2検体からVREを検出した.徹底した環境整備と,濃厚接触時の手技および手洗い・手袋交換のタイミングの確認・指導を行った結果,追加スクリーニング検査ではVREは検出されず,院内感染拡大を阻止することができた.
迅速なICT介入と手指消毒の徹底と日常業務における接触感染対策の実行が,感染拡大を防止できた要因と考える.