日本環境感染学会誌
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ノロウイルス院内集団食中毒による看護職員の2次感染発生と患者ケア状況との関連
高見 陽子栗原 慎太郎塚本 美鈴安岡 彰
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2010 年 25 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
  当院では2006年12月に病院給食を介したノロウイルスによる食中毒事例が発生した.看護職員の2次感染発生と患者ケア状況との関連について検討した.本事例における患者発生状況は,食中毒が確定例70名,疑い例5名の計75名,食中毒患者からの2次感染は,確定例8名,疑い例22名の計30名で,合計105名であった.疑い例を含む2次感染30名のうち11名が入院患者,19名が学生を含む職員であった.19名の職種別内訳では,11名が看護職員(確定例2名,疑い例9名)で過半数を占めていた.看護職員へのアンケート調査により回答の得られた360名のうち,吐物や下痢便の処理あるいはそれらが付着した環境やリネンなどの処理を実施した看護職員は61名であり,そのうち発症確定例は1名,疑い例は1名のみで,吐物や下痢便の処理といったケア実施の有無や,個人防護具着用の有無と発症との間に関連は見出せなかった.吐物等の処理では飛沫や粉塵の吸入による曝露リスクが高いとされるが,今回の事例ではそのような曝露リスクは観察されなかった.
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© 2010 一般社団法人 日本環境感染学会
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