抄録
当医療センターが開院した2005年3月から2007年7月までに検出された各種抗菌薬耐性菌の検出状況を入院患者由来株,外来患者由来株に分類し経年的に調査した.
検出状況は,入院および外来患者由来株ともにpenicillin-resistant Streptococcus pneumoniae (PRSP), penicillin-intermediate Streptococcus pneumoniae (PISP),およびmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA)が調査期間を通じ高い割合で検出され,次いでβ-lactamase negative ampicillin resistant (BLNAR) Haemophilus influenzaeが比較的高率に検出された(PRSP, PISP: 62.0~85.7%, MRSA: 30.2~58.6%, BLNAR H. influenzae: 4.9%~35.5%).その他の耐性菌はいずれも5%前後の検出率であった.extended-spectrum β-lactamase (ESBL)産生性のEscherichia coliは全調査期間中4.4%に検出されたが,このうち50%は外来,6.8%は入院時に院外から持ち込まれたものであった.
以上の結果より,外来患者を含め感受性結果が得られていない時点では,S. aureusではMRSA, S. pneumoniaeではPRSPおよびPISPの可能性が高いことを鑑み,感染予防策や抗菌薬選択を行う必要がある.また各種抗菌薬耐性菌検出状況を把握し,その傾向から早期の対策や初期治療における抗菌薬選択の指標に繋げるために,入院時の抗菌薬耐性菌の持ち込みも含めた検出状況をモニタリングしていくことが重要であると考えられた.