日本環境感染学会誌
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原著論文
本院におけるICT活動とMRSA,多剤耐性緑膿菌検出数に関する研究
松尾 佳那吉永 正夫吉満 桂子渡邊 真裕子
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2011 年 26 巻 1 号 p. 19-24

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抄録
  当院では,2005年にインフェクションコントロールチーム(ICT)が結成された.ICT結成前は医療施設関連感染症に関するデータ収集は感染管理認定看護師(ICN)の資格をもつ看護師一人が兼任していた.ICT結成当時メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),多剤耐性緑膿菌(MDRP)とも高い検出数があった.ICTの発足と同時に,メンバー間の迅速な感染情報の発信・共有と還元,役割分担された迅速な病棟ランドと,定義を明確にして多剤耐性菌サーベイランス開始した.そこで今回ICT発足時の2005年度から2009年度までのMRSAおよびMDRPの検出件数と医療施設関連感染対策の取り組みについて検討を行った.発足1年間でMRSAは3.51%から1.19%と発足時の34%まで有意に減少した(p=0.004).MDRP検出率も1年間で1.30%から0.28%と発足時の22%まで有意に減少した(p=0.004).MDRPは検出部位が主に尿路系に限局しており,標準及び接触感染予防策の対象が限定しているため徹底することができ,減少したものと考えられる.MRSA検出率は最近減少傾向を示しておらず,標準および接触感染予防策の徹底のために新たな対策が必要である.
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© 2011 一般社団法人 日本環境感染学会
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