日本環境感染学会誌
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インターネット調査による我が国の一般市民における「咳エチケット」の認識度
三宅 寿美脇本 寛子
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2011 年 26 巻 2 号 p. 87-93

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抄録
  インフルエンザなどの飛沫感染予防には「咳エチケット」を実践することが重要である.病院内のみならず地域で一般市民が「咳エチケット」を実施することは,より有効な感染予防対策といえる.そこで本研究は,今後の啓発活動の手掛かりを得るために,我が国の一般市民の「咳エチケット」の認識度の実態を明らかにすることを目的とした.
  インターネット調査とし,一般市民を対象に2009年2月と2010年3月の2回実施した.対象は,1回の調査あたり400人で,居住地域,年齢,性別で層別した.調査項目は,「咳エチケット」を聞いたことの有無,「咳エチケット」の行動実施状況,マスクの着用目的等とした.
  「『咳エチケット』という言葉を聞いたことがありますか」の設問に「はい」と回答したのは,1回目31.0%(124人),2回目47.8%(191人)であり,情報源は,テレビ番組と病院の掲示が多かった.2回の調査共に,「咳エチケット」を聞いたことがある人の方が聞いたことがない人に比べて有意に多かった「咳エチケット」の行動は,「咳やくしゃみの時に鼻と口を手で覆う」ことであり,2回目では更に,「咳やくしゃみなどの症状がある場合」をマスク着用の最も適切な場合と回答していた.「咳エチケット」という言葉を聞いただけでは正しい行動に繋がっていないことが伺え,今後は,テレビや病院の掲示などの媒体を利用して,啓発活動を強化することが必要と考えられた.
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© 2011 一般社団法人 日本環境感染学会
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