抄録
2007年の国内での麻疹の流行に伴い,当院でも病院職員を対象とした麻疹,風疹,水痘および流行性耳下腺炎に対するウイルス抗体価の測定とワクチン接種を開始した.しかし,職員属性情報と抗体価測定データの管理の多くを手作業で行うため担当者の負担は大きく,効率性と正確性に問題があった.2010年,感染管理支援システムの導入に伴い,このような問題点を解消するためにワクチン接種歴の管理を加え職員感染管理のシステム構築を行った.構築にあたり日本環境感染学会より発行された「日本環境感染学会 院内感染対策としてのワクチンガイドライン 第1版」に準拠しシステム化を行った.システム化により従来の手作業で行っていた職員属性情報と抗体価測定データとの統合作業はなくなり,「抗体価測定が必要な職員」,「基準を満たさない者」,「ワクチン接種推奨者」などのリストが迅速に得られるようになった.病院内ネットワークシステムを活用した職員感染管理のシステム化は,担当者の負担を軽減し,限られたマンパワーを有効に活用でき,より質の高い感染管理が実現できたと考える.