日本環境感染学会誌
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原著論文
微酸性電解水によるコンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ保存液の消毒効果
守重 比路美眞野 容子笹岡 秀之中村 悌一冨田 守芝 紀代子古谷 信彦
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2012 年 27 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

  コンタクトレンズ(CL)ケースおよびCL保存液の汚染状況と,それらに対する微酸性電解水の除菌効果を検討した.健康成人35名の使用済みCLケース35個とケース内CL保存液65検体の汚染状況を調査したところ,CLケース16個(45.7%),CL保存液27検体(41.5%)から17菌種が分離された.このうち最も高頻度に分離されたのはSerratia marcescens (25.9%)でBacillus spp. (14.8%)がこれに次いだ.保存液を全て廃棄した汚染CLケースに微酸性電解水を充満させて一夜放置したところ,18/27検体(66.7%)で汚染菌は完全に殺菌された.また,一部の汚染CL保存液を微酸性電解水にて10倍希釈したところ,Staphylococcus epidermidisを除く2菌種において希釈直後から菌は死滅した.実験的に汚染させたCLケースの乾燥殺菌効果の検討では菌液廃棄直後のケース内に最大107 CFU/mL存在していた菌数は24時間後も80~1.2×104 CFU/mL残存していた.乾燥前に滅菌蒸留水でケースを一度洗浄した場合も同様であった.一方,微酸性電解水による洗浄では乾燥開始直後から全菌種が分離されなかった.今回の検討で,健常者のCL関連製品から医療関連感染の原因菌が高頻度に分離され,これらに対して微酸性電解水は高い殺菌効果を有することが示唆された.

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© 2012 一般社団法人 日本環境感染学会
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