日本環境感染学会誌
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速乾性手指消毒剤の市場実態調査
中西 尚大千葉 薫野田 久美子唯野 貢司
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2012 年 27 巻 2 号 p. 135-141

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抄録

  手指消毒は医療従事者の手指を介した感染を予防するための最も基本的な手段であり,医療施設においては手指消毒剤の適切な使用が求められている.現在,手が目に見えて汚れていない場合は速乾性手指消毒剤(ラビング剤)により手指消毒を行うラビング法が推奨されており,手指消毒の主流となっている.しかし,2009年の新型インフルエンザ流行によりラビング剤市場は拡大し,医療現場において使用されている製品の実態は不明である.そこで,より適切なラビング剤の選択に役立つ最新の情報を収集し,その評価を行うためにラビング剤市場の実態調査を行った.
  調査方法はインターネットを使用した.調査項目は,法的区分,薬効成分,用法・用量,性状とし,今回検索された製品数は164製品であった.
  市場で流通しているラビング剤は法的区分上,医療用医薬品,一般用医薬品,医薬部外品,雑品に分けられ,医療現場において雑品は適さないと考えられた.また,ラビング剤の1回使用量は定まっていないものの,約3 mLを目安に使用する,もしくは乾燥までに20~30秒かかる量を使用する必要があると考えられた.さらに,ラビング剤の性状には,ゲル状,液状,泡状の製品があった.市場における手指消毒剤の効果・使用感は多岐に渡るため様々なファクターを考慮した製品を選択することにより,手指消毒の遵守率を向上させることが望まれる.

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© 2012 一般社団法人 日本環境感染学会
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