当院では2005年度に血液培養で
Bacillus cereusの増加傾向がみられた.血液培養で
B. cereusが検出された患者の背景を調べた結果,大半の患者で末梢カテーテルを留置していた.さらに血液培養で
B. cereusが検出された数名の患者の末梢カテーテル先端からも
B. cereusが検出され,
B. cereusによる血流感染ありと判断した.また文献的に検索すると
B. cereus菌血症についてはリネン等の汚染や留置カテーテルの取り扱いが指摘されているが,カテーテルの汚染とリネンの汚染との結びつきについては不明な点が多い.そこで今回我々はカテーテルにおける菌の定着と増殖の原因について,輸液製剤の種類による菌の発育速度と温度の影響,環境因子の影響について調査を行ったので報告する.輸液製剤の種類や保管時間の影響に関しては,
B. cereusが
Staphylococcus aureusや
Staphylococcus epidermidisと比較して増加しやすいという傾向が見られた.環境検査ではタオルの培養で≦10
2~1×10
6 cfu/mLの
B. cereusが検出された.落下菌の測定では,一般環境より病室で多く検出される傾向が見られた.さらにリネンの出し入れ後の落下菌の検査を行うと短時間で多数の
B. cereusが検出された.以上より輸液製剤の保管の影響よりも,薬剤の調合やカテーテルの刺入,ルート交換を行う環境や取り扱いに問題があると考えた.
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