2012 年 27 巻 3 号 p. 178-182
当院では2008年度季節性インフルエンザの職員罹患数が22名に及び,職員の欠勤に伴う患者サービスの低下を招いた.そこで2009年度は猛威を振るっていたインフルエンザ(H1N1)2009対策としてオセルタミビルリン酸塩(以下オセルタミビル)による予防及び早期治療を行い,その効果を検討した.予防内服とは同居人がインフルエンザと考えられた場合にオセルタミビル1カプセルを4日間内服.早期治療内服とは本人が発熱しインフルエンザが疑われる場合に出勤停止の上オセルタミビル2カプセルを2日間内服した.それぞれの罹患・内服状況をアンケートで調査した.オセルタミビルは全職員に事前に4カプセルずつ配布し,シーズン終了後回収した.予防内服者は延べ43名で,看護師・看護助手が30名,PT・OT 6名,事務2名,薬剤師1名,医師1名,検査技師1名,その他2名だった.予防内服する契機となった同居家族の状況は子供37名,配偶者2名,友人その他4名だった.予防内服した職員に家族等からのインフルエンザ感染はなく,内服時の副作用もなかった.早期治療内服をした者は17名で,看護師・看護助手が13名,医師1名,事務1名,検査技師1名,その他1名だった.同居人がいる者が9名いたが,同居人への感染はなかった.オセルタミビルの予防内服と早期治療内服を実施する事はインフルエンザ(H1N1)2009院内感染対策に有効だったと考えた.