日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
報告
末梢静脈カテーテル留置期間と血流感染および静脈炎発生の関連性に関する検討
多湖 ゆかり谷 久弥森兼 啓太
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 29 巻 2 号 p. 122-127

詳細
抄録

  CDCのGuidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections, 2011の発出を受け,末梢静脈カテーテルの標準的な留置期間を4日毎から7日毎に変更した.留置期間が適切か否かを評価するため変更後6ヶ月間(2011年7月~12月)の末梢静脈カテーテルに関連するBSIと静脈炎のデータ解析をした.延べ留置日数2,784日,ライン使用本数989本に対して,BSI発生は2件であり,1000ライン日あたり0.72件であった.発生日はどちらも留置3日目であった.静脈炎(INS基準:2+以上)は14件で,3日以内と4日以上を比較して静脈炎発生率に有意差は見られなかった.従って,末梢静脈カテーテルをルーチンに3~4日毎に刺し替える必要はない.刺入部の観察を重視した上での7日毎の刺し替えは,患者の苦痛軽減やスタッフの労力削減を図る上でむしろ好ましいと考える.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事
feedback
Top