日本環境感染学会誌
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総説 (疫学・統計解析シリーズ)
4. アウトブレイクデータ解析の一般的な手法と注意点
藤田 烈
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2014 年 29 巻 2 号 p. 80-92

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抄録
  アウトブレイク発生時にデータを整理、分析し、効果的な対策を提案する、あるいはその対策の効果を適切な方法で検証することは、アウトブレイクの早期収束、再発予防を図る上で、感染対策担当者が果たすべき重要な役割の一つである。また、幸運にもアウトブレイクを経験していない施設の職員、あるいはデータの解析に直接携わる機会を持たない職員にとっても、アウトブレイク事例を紹介する研究発表や論文から正確な情報を読み解き、自施設の感染予防プログラムに活用することは重要な役割となる。いずれにおいても、アウトブレイク調査の場面で用いられる統計解析手法に関する一定の理解は必要である。
  感染症のアウトブレイク調査に用いられる統計手法には、いくつかの特徴、特殊性がある。基本となる統計理論は他の医療分野で用いられる統計手法と同じであるものの、他領域との違いを理解しておくことも大切である。とりわけ、アウトブレイクデータ解析の場面で頻繁に利用される統計学的推定の手法、リスク・予防因子探索場面でのP 値の解釈、交絡への対応方法などを理解しておくことは、限られた情報と時間の中で適切な判断を下す感染対策担当者にとって必須の要件といえる。また、薬剤耐性菌アウトブレイクや医療器具関連感染症のアウトブレイクデータ解析の場面では、イベント数が少ないデータからその時点での最適解を探索する、高度なデータ分析が求められる。この種の解析は、疫学や統計学に関する系統的な教育をうけた者にとっても容易なことではなく、このような場面で発生し得る感染対策のミスリードを回避するためには、相応の知識が必要となる。
  本稿では、アウトブレイクデータ解析の場面で一般的に用いられる統計手法を紹介し、データ解析の観点から、散見される問題をいくつか取り上げ、その対処方法について解説を行う。
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© 2014 一般社団法人 日本環境感染学会
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