抄録
自治医科大学附属病院では,鋭利物廃棄容器を携帯し忘れて発生する針刺し切創を防止するために,鋭利器材や廃棄容器などを搭載した独自の「血管穿刺支援カート」を企画し2010年に導入した.本研究では,2007–2013年における各年のカート配置総数・針刺し切創報告総件数・廃棄容器を携帯しないために発生した事例数を調査し,カート導入による針刺し切創の減少効果を評価した.針刺し切創報告総件数はカート導入前後で変化しなかったが,廃棄容器を携帯しないために発生した事例はカート導入によって有意に減少した(p<0.01).また,カート配置総数と廃棄容器を携帯しないために発生した事例数の間には,負の相関が見られた(相関係数r=−0.83,p<0.05).