日本環境感染学会誌
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原著
抗菌性フィルムドレッシング材が中心静脈カテーテル挿入患者の刺入部皮膚細菌叢に与える影響
加藤 由紀子浜田 幸宏久留宮 愛岡前 朋子高橋 知子坂田 美樹末松 寛之吉田 英二西山 直哉小泉 祐介山岸 由佳三鴨 廣繁
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2017 年 32 巻 2 号 p. 67-73

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抄録

中心静脈カテーテル関連の血流感染の約半数に刺入部周辺の皮膚の細菌が関連していることが明らかになっている.我々は,抗菌効果のある亜鉛結合繊維パッドを組み合わせたフィルムドレッシング(フィックスキット・CV)材が,中心静脈カテーテル刺入部周辺部の皮膚細菌叢に与える影響を検討した.

同意を得た症例にフィックスキット・CVと非亜鉛含有ドレッシング材の2種類を無作為に割り付け,ドレッシング材除去直後にカテーテル刺入部周囲皮膚の1 cm2範囲を滅菌綿棒でぬぐい取り,細菌定量培養を実施した.フィックスキット・CV102例,非亜鉛含有ドレッシング材100例にて検討した.菌検出率は,それぞれ47.1%(48件),62.0%(62件)であった(p=0.03).ロジスティック解析にて菌検出に影響を及ぼす因子は,BMI,性別,カテーテル挿入部位であった.BMI 25 kg/m2以上とBMI 25 kg/m2未満での菌検出率は,それぞれ73.8%,49.4%であった(p=0.01).中心静脈カテーテル刺入部周辺部皮膚の細菌数は,BMIが大きく影響していた.BMI 25 kg/m2未満の患者では,抗菌作用を有するドレッシング材を使用することにより皮膚細菌の増殖リスクが軽減する可能性が示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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