2017 年 32 巻 2 号 p. 89-93
伝染性紅斑は軽症なウイルス感染症であるが,妊婦が感染すると胎児水腫や流死産を来す.ワクチンはなく流行を繰り返しており,予防は困難なため院内感染対策及び職業感染対策として重要な感染症の一つである.今回一過性赤芽球癆の患者が入院し,マスク装着や手指衛生の徹底,妊婦や妊娠を望む看護師を担当から外して休憩室を別にするなど対策を行った.しかし妊婦でない担当看護師1名が伝染性紅斑を発症した.接触歴のあった妊婦は保険外適応であるため,産科でそのIgG抗体は検査できなかった.病棟看護師31名全員のIgGおよびIgM抗体を測定した結果,発疹が出た担当看護師のみがIgM抗体陽性,既感染を示すIgG抗体のみ陽性は20/31名(64.5%)であった.伝染性紅斑のリスク評価と今後の院内感染対策を改めて検討した.また伝染性紅斑に感染した助産師から同僚や妊婦への感染の報告があり,妊婦指導をする助産師と看護師のIgG抗体を測定した.一般に成人間の伝染性紅斑の感染は少なく,妊婦は自身の子供から感染する報告例が多かったので,家庭で子供が伝染性紅斑に感染した時にその接触者である職員は院内で手指衛生とマスクを装着すること,また妊婦や妊娠を望む同僚に手指衛生とマスク装着を指示した.今回,流行時における日常の伝染性紅斑対策について新たな対策を提言した.