日本環境感染学会誌
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病棟専任薬剤師の手指衛生に対する意識向上を目指した取り組みと評価
中谷 亮介満田 正樹
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2017 年 32 巻 4 号 p. 216-221

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抄録

病棟専任薬剤師は患者に接触する機会も多く,適切な感染対策を実施する必要がある.今回,病棟専任薬剤師の手指衛生に対する意識向上を目的として,蛍光塗料や手指表面の細菌培養といった視覚的な手法を用いた取り組みを行い,消毒薬の使用量及びアンケート調査で有用性を評価した.蛍光塗料を用いた調査では患者指導時に多くの場所を触れていることが分かり,また細菌培養による調査では手指消毒前の細菌汚染状況や消毒薬の効果を認識し,手指消毒の重要性を認識できた.これらの取り組みにより,薬剤管理指導時における擦式アルコール手指消毒薬平均使用量は125 mL/月から325 mL/月に有意に増加した.また,手指消毒平均実施率は25.0%から63.3%に有意に上昇した.アンケート調査では,全薬剤師が患者対応前後に手指消毒を行うようになったと回答した.今回の取り組みは病棟専任薬剤師の手指衛生に関する意識向上に有用であると考える.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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