日本環境感染学会誌
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当院におけるClostridium difficile感染症発生の推移と感染対策の取り組み
福地 邦彦秋間 悦子中根 香織宇賀神 和久田原 佐知子二木 芳人
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2017 年 32 巻 6 号 p. 364-368

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抄録

Clostridium difficile(以下CD)はCD関連腸炎の原因となり,水平伝播によるアウトブレイクを発生させる.CDの検出には迅速診断キットが繁用されるが,近年,感度および特異度が改良された製品が開発されている.我々は検査方法の見直しによるCDの検出感度の向上に取り組み,その結果CD関連腸炎の診断精度が向上した.しかし検査方法の見直しによる検出感度の向上にも関わらず,水平伝播の疑いによるCDの感染拡大が認められたため,平時の環境整備の見直しに取り組んだ.従来は平時の環境整備に第4級アンモニウム塩製剤を使用し,CD感染症の発症者が発生した際は,患者周囲を次亜塩素酸ナトリウムにて環境消毒していた.今回リウマチ膠原病内科を中心とする病棟において,平時の環境整備にペルオキソ一硫酸水素カリウムを主成分とする複合型塩素系除菌・洗浄剤ルビスタ(以下,RST)を導入し,2年間での有用性の評価を行った.その結果RST導入後にCDの水平伝播は認められなかった.本検討において検査方法と平時の環境整備の見直しはCDの水平伝播抑制に関して一定の有用性を示すことが示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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