2017 年 30 巻 4 号 p. 245-251
近年,上部構造装着後の,インプラント周囲炎に代表される生物学的合併症が数多く報告されるようになってきたが,インプラント周囲組織を長期的に健全な状態で維持するためには,上部構造の材質や形態などの補綴学的な要因が大きく関与していると考えられる.この稿ではインプラント上部構造の歯肉貫通部に焦点を当て,歯肉貫通部においてプラークリテンティブファクターとなりうる要素を排除していくための補綴物の条件を,歯肉貫通部の材質・歯肉貫通部の形態・上部構造の装着様式・複数歯における連結の必要性の有無について考察し,またそれを受け入れる生体側の条件も併せて考察していく.