日本環境感染学会誌
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原著
訪問看護に影響を与える診療所の感染対策の実態と課題
福井 幸子吹田 夕起子細川 満子矢野 久子前田 ひとみ
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2018 年 33 巻 2 号 p. 37-46

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抄録

訪問看護における感染対策には診療所の感染対策の取り組みが影響していると推測し,診療所の感染対策の実態を調査した.

自記式質問紙調査を実施し,X市・Z市の診療所404件中108件(26.7%)から回答を得た.感染症に関する情報の入手機関で多かったのは「県医師会・市医師会」72件で,情報源として多く活用していたのは「国や県からの通達文書」75件であった.感染予防行動では,交差感染を防ぐ項目の実施が高く,職業感染予防の実施は低い傾向があった.「感染対策指針がある」,「感染対策委員会がある」,「併設事業所がある」,「感染症に関する情報を専門書から入手している」と回答した診療所は,感染予防行動実施の総点が高かった(p<0.01).訪問看護指示書を交付した診療所71件中,感染症の情報を訪問看護事業所に提供していたのは60件(84.5%)で,時期は「診察で感染症がわかった時」44件(73.3%),「訪問看護開始時」29件(48.3%)と時期は画一化されていなかった.また,安全装置付き注射器材を使用している診療所の多くが訪問看護事業所にも同様の器材を配給していることや,廃棄物を持ち込む訪問看護師に対して危険な廃棄方法を指示している診療所があること等から,診療所の感染対策は訪問看護の感染対策に影響を与えており,訪問看護の感染対策向上には,診療所の感染対策の充実が必要である.

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© 2018 一般社団法人 日本環境感染学会
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