2018 年 33 巻 2 号 p. 47-51
近年,温水洗浄便座の汚染が医療関連感染の原因菌を媒介しない衛生的な温水洗浄便座が求められている.最新の温水洗浄便座では,水道水を電気分解して次亜塩素酸水(中性電解水)を生成し,ノズルを洗浄する機能を有している製品がある1,2).本研究では,次亜塩素酸水生成機能付き便座で生成された低濃度中性電解水を用いて,医療関連感染で問題となりやすい緑膿菌に対する,除菌効果を明らかにすることを目的として本研究を実施した.その結果,緑膿菌臨床分離株,環境分離株とも次亜塩素酸濃度0.5 mg/Lで30秒以上,1.0 mg/Lで5秒以上接触させることで,90%以上の株で菌濃度2桁以上の除菌効果が得られた.以上の結果から,中性電解水は,低濃度でも接触時間と作用間隔を最適化すれば,緑膿菌に対して除菌効果があることが示唆された.