日本環境感染学会誌
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普通抜歯に対する予防的抗菌薬使用実態とSSI発生状況の調査検討
吉田 謙介児玉 泰光磯辺 浩和山田 瑛子西川 敦髙木 律男
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2018 年 33 巻 5 号 p. 207-212

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抄録

薬剤耐性問題は国際的にも大きな課題となっており,各医療施設は抗菌薬の使用状況や起炎菌との適合性などを把握し,エビデンスを集積することが求められている.新潟大学医歯学総合病院(当院)でも検討が進められているが,歯科外来における予防的経口抗菌薬投与に関しては,多くが担当歯科医師の裁量に委ねられており不明な点も多かった.そこで当院歯科外来における抗菌薬の適正使用を検討するため,普通抜歯の予防的経口抗菌薬の使用状況とSurgical Site Infection(SSI)の発生状況を薬剤師の視点から後ろ向きに調査した.2012年1月~2016年12月までの5年間に,当院歯科外来において永久歯の普通抜歯を行った症例を対象とし,経口抗菌薬使用の有無,種類,投与期間,SSI発生の有無について調査した.その結果,約7割の症例で経口抗菌薬が平均3日間投与されており,特に第三世代セフェム系の使用が8割を超えていた.一方で,抗菌薬の有無によりSSI発生率に有意な差は認められなかったことから,当院歯科外来における普通抜歯に関し,SSIの発生に経口抗菌薬の影響は低いことが示唆された.ガイドラインによると普通抜歯では予防的抗菌薬投与は推奨されておらず,また,歯科診療において抗菌薬の第一選択はペニシリン系である事などを勘案すると,引き続き歯科領域における抗菌薬の適正使用化を進める必要性があると思われた.

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© 2018 一般社団法人 日本環境感染学会
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