日本環境感染学会誌
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原著
大量調理施設衛生管理マニュアルに基づいたノロウイルス検査法4法の比較
荻原 真二井上 修莊司 智和窪川 佳世松村 大樹矢崎 正浩井上 克枝
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2019 年 34 巻 2 号 p. 83-87

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抄録

平成29年6月に大量調理施設衛生管理マニュアルの改正が通達され,ノロウイルスの流行期間の10月~3月までの間,大量調理施設の調理者を対象に高感度検査法でノロウイルス検査を行うことと記載されている.そこで現在国内で実施可能なノロウイルス検査法4法について感度,検査実働時間,トータル検査時間,コストについて比較分析した.

健常人ボランティアより提出された53名の便検体(陽性例の追跡検査分を含む62検体)を用いGeneXpertシステム,TaKaRaノロウイルスキット,TaqMan Probe法,クイックナビ―ノロ2の4法について検討した.

GeneXpertシステム,TaKaRaノロウイルスキット,TaqMan Probe法の3法は,大量調理施設衛生管理マニュアルが求める感度の検査法であった.53名の便検体の検査実働時間は各々106分,260分,687分,76分,トータル検査時間は各々2,434分,320分,857分,91分,コストは各々202,089円,73,644.4円,152,249円,79,500円であった.

本検討より我々が理想的と考える検査法の選択は,大量検体を処理するスクリーニング検査法はTaKaRaノロウイルスキット,さらに陽性者の追跡調査はGeneXpertシステムの組み合わせである.検査法にはそれぞれ特徴があり,それらを理解した上で検査法を使い分けることが肝要である.

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© 2019 一般社団法人 日本環境感染学会
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