日本環境感染学会誌
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報告
病棟配置された軟膏剤やクリーム剤の衛生管理に関する複数施設での実態調査
中川 博雄伊東 潤一岡田 昌之岩村 直矢今村 政信北原 隆志佐々木 均室 高広
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2019 年 34 巻 3 号 p. 176-181

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抄録

病棟配置された処置用の軟膏剤やクリーム剤に対して,これまでに管理方法や微生物汚染の実態を複数施設で調査した報告はない.そこで本研究では,長崎県病院薬剤師会感染制御ワーキンググループの会員施設で協力が得られた3施設を対象に,病棟配置された処置用の軟膏剤やクリーム剤の衛生管理に関する聞き取り調査および微生物汚染の実態調査を行った.さらに,病棟配置された処置用の軟膏剤やクリーム剤の開封後の使用期限について検討する目的で,基剤の異なる代表的な軟膏剤やクリーム剤に手指の常在微生物を塗布する評価法を用いて,微生物汚染までの期間を調査した.その結果,3施設いずれにおいても軟膏剤やクリーム剤の衛生管理マニュアルは整備されていなかった.また,微生物汚染の実態調査では,3施設の軟膏剤やクリーム剤128個全てで微生物汚染は認められなかった.さらに,実験による評価では,基剤の違いや防腐剤の有無に関わらず,6か月間にわたり軟膏剤やクリーム剤で微生物汚染は認められなかった.よって,処置用の軟膏剤やクリーム剤は直接素手で採取しないなどの衛生管理に注意を払えば,開封後6か月間まで使用可能であることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本環境感染学会
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