日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
原著
歯科診療用ユニット給水系中の微生物汚染に関する検討
神之田 理恵渡邉 温子松尾 美樹小松澤 均宮脇 正一
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 37 巻 5 号 p. 183-189

詳細
抄録

【目的】本研究の目的は,使用年数や消毒機能の有無など条件の異なる歯科診療用ユニット給水系中の微生物汚染状況を把握し,各ユニットにおけるフラッシングの効果を検討することである.

【対象および方法】ユニット水は,月曜日と金曜日の診療開始前にスリーウェイシリンジからフラッシング前と10秒間のフラッシング後に採取した.消毒機能有りユニットは診療終了後毎の消毒が推奨されているが,本研究では金曜日の診療終了後のみに消毒液を停滞させ,翌月曜日の診療開始前に消毒液を排出し,10秒間のフラッシング後に採取した.採取したユニット水は普通寒天培地に塗布し,3日間培養後にコロニー数をカウントした.

【結果】使用年数が長いユニットでは他のユニットに比較し有意に微生物数が多かった.使用年数が短いユニットではフラッシング前後での微生物数に有意に差を認めたが,使用年数が長いユニットではその効果は低かった.消毒機能有りユニットではフラッシング前後に関わらず微生物数は少なかった.

【考察】歯科診療用ユニットの微生物汚染状況は各ユニットで異なっているため,各ユニットの定期的な検査とユニットに応じた洗浄が微生物数のコントロールに必要であることが示唆された.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top