2024 年 39 巻 4 号 p. 88-91
【はじめに】累次の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行で,墨田区は効率的な業務の実施に努めた.【方法】インシデント・コマンドシステム(ICS)を導入し保健所業務を強化した.【結果】相談・検査体制では,「こころの相談窓口」,「後遺症相談窓口」に対応するほか,自前の検査室整備,民間検査会社誘致など検査体制を拡充した.医療体制では,専用病床(確保282床),回復期(56床)のほか,臨時医療施設(45床)を開設した.自宅療養支援では,往診や遠隔診療に24時間対応した.【考察】墨田区保健所は,業務逼迫に対処するためICSを導入した.ボトムアップの人材育成や業務改善につながり,未経験の健康危機に対応できた.【結論】ICSはCOVID-19対応における公衆衛生活動を継続にし,地域資源の効果的効率的な活用に役立った.