日本環境感染学会誌
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原著
外来看護師の輸入感染症初療対応能力尺度の開発研究
関口 和宏西岡 みどり森 那美子
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2024 年 39 巻 4 号 p. 92-103

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抄録

輸入感染症患者への適切な初療対応は,適時の医療提供,感染の拡大防止や職業感染防止において重要である.本研究は看護師の輸入感染症初療対応能力を測定する尺度の開発を目的とした.

看護師に求められる輸入感染症初療対応能力について,旅行医学,感染症看護,感染管理,公衆衛生学などの文献を網羅的に検討し,尺度の項目プールを作成した.項目プールの内容妥当性・表面妥当性の検証の後,是認率・判別能を検証し,尺度項目候補95項目からなる質問紙を作成した.無作為抽出した450病院の初療部門に勤務する看護師1,350名を対象に質問紙調査を実施し,回答320通を分析対象とした.天井-床効果,項目-全体相関,項目間相関の検証を経て探索的因子分析を実施した.以上により第1因子「輸入感染症リスクの知識」(18項目),第2因子「感染症看護実践と感染管理」(18項目),第3因子「感染症アセスメントと看護計画立案」(11項目),合計47項目からなる「看護師の輸入感染症初療対応能力尺度Ver1.0」を開発した.尺度全体のクロンバックα係数は0.958であり,内的一貫性による信頼性を確認した.確認的因子分析の結果,モデル適合度は良好であり,構造概念妥当性があると判断した.

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© 2024 一般社団法人 日本環境感染学会
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