日本環境感染学会誌
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泡剤アルコールベース手指消毒剤のin vivoにおける保湿性の評価
菊地 圭介
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2025 年 40 巻 3 号 p. 148-152

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抄録

手指衛生は医療関連感染の予防において重要な要素であり,アルコールベースの手指消毒剤(ABHR)が頻繁に使用されている.しかし,ABHRによる皮膚の乾燥や手荒れが手指衛生の遵守を妨げる可能性がある.本研究では,国内で販売されている3種類の泡状ABHRの保湿効果を評価するため,20歳から59歳までの健康な日本人男女を対象に,皮膚水分蒸散量(TEWL)と皮膚水分量を測定した.試験では,皮膚水分量においてA剤(72vol%エタノール)が最も高い保湿効果を示し,B剤およびC剤(76.9~81.4vol%エタノール)より水分保持が多い結果となった.そのことからエタノール濃度が低いA剤が皮膚の水分保持に優れていることが示唆された.本研究の結果は,医療現場における手指衛生の実践においてABHRの選択は,手指の乾燥を予防し手指衛生の遵守の促進の一助となることを示唆した.繰り返す手指衛生による手荒れリスクを下げるためにも,ABHRの選択は実践者である医療従事者に保湿効果を含めた使用感等,総合的に判断しなければならない.

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© 2025 一般社団法人 日本環境感染学会
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