2026 年 41 巻 1 号 p. 35-43
黄色ブドウ球菌血症(SAB)は重篤な血流感染症であり,起因菌に応じた適切な抗菌薬の早期投与が重要である.本研究は,Xpert MRSA/SA BCを活用した薬剤師主導の抗菌薬適正使用支援が,抗菌薬使用状況や治療アウトカムに与える影響を後ろ向きに評価した.2022年9月から2025年4月に当院でSABと診断された18歳以上の入院患者77例を対象に,Xpert導入前42例と導入後35例に分類し,傾向スコアマッチングにより導入前後各21例を比較した.その結果,導入後群では,適切な抗菌薬開始までの時間が有意に短縮し(中央値:17.0時間[四分位範囲:3.0-64.0] vs 2.0時間[1.0-23.0],p < 0.05),48時間以内の適切な抗菌薬投与率も有意に高かった(66.7% vs 100.0%,p < 0.05).また,メチシリン感受性SAB患者に対する抗MRSA薬の未投与率(31.2% vs 93.3%,p < 0.001)も有意に高かった.一方で,主要評価項目である30日全死亡率には両群間で有意差はなかった(19.0% vs 19.0%,p = 1.00).本研究結果から,Xpert MRSA/SA BCを活用することで,薬剤師主導でもSABにおける適切な抗菌薬の早期投与や不要な抗MRSA薬の使用回避に寄与する可能性が示された.