日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
原著
リハビリテーション学部学生における黄色ブドウ球菌保菌状況と感染対策教育の現状―教育課程整備に向けた基礎的検討―
小島 誠石原 由華鈴木 啓介柴山 恵吾太田 美智男
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 41 巻 1 号 p. 27-34

詳細
抄録

理学療法士および作業療法士には,感染対策に関する専門知識とその遂行技術が求められる一方,体系的な感染症および感染対策のモデルカリキュラムが存在しない.近年,易感染性の高い患者も多く含まれるため,感染対策教育の充実が急務である.本研究では,感染リスクと教育体制の両面からその必要性を明らかにする目的で(1)学生の鼻腔に保菌する黄色ブドウ球菌の実態把握と,(2)大学における感染対策教育の現状を明らかにすることで,その重要性を可視化し教育体制改善の基礎資料とする.(1)2024年12月から2025年1月にかけて,A大学リハビリテーション学部1~4年生126名の鼻腔検体を採取し,黄色ブドウ球菌を分離し,その後mecA遺伝子の検出,薬剤感受性試験および分泌毒素の解析を行った.一方,(2)全国26大学のリハビリテーション学部についてシラバス調査にて,感染対策講義の数と内容を評価した.結果,(1)126名中67名(53.2%)が黄色ブドウ球菌を保菌していた.さらに5株(4.0%)がMRSAと判定された.18株は毒素分泌陽性で,TSST-1陽性MRSAも1株含まれた.(2)調査では感染対策に関わる講義時間数の中央値は7.5時間(範囲:1~30時間)であり,感染対策を独立科目として実施する大学は7校(26.9%)にとどまった.以上より,リハビリテーション学部における感染対策の体系的教育の必要性が示され,教育体制整備が強く望まれると考えられた.

著者関連情報
© 2026 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top