2026 年 41 巻 2 号 p. 83-88
近年,薬剤耐性菌制御には抗菌薬適正使用が重要とされている.当院では,適正使用の一環として,経口抗菌薬へのスイッチについて積極的に取り組んできた.しかし,Extended-Spectrum β-Lactamase(ESBL)産生菌に対する有効な経口抗菌薬は限られていることから,血液培養陽性検体のESBL産生菌についてディスク拡散法による経口抗菌薬に対する感受性検査を追加することとした.5年間113件を調査した結果,44.2%(50/113)で経口スイッチが行われ,そのうち52%(26/50)がディスク拡散法の結果に基づく経口抗菌薬への変更であった.静注群,経口スイッチ群(以下経口群)による比較では,治療後90日以内の再燃,死亡において有意な差は認められず(p=0.4922,p=0.2328),経口群では有意に入院期間を短縮できた(p=0.001).これらの結果から,ディスク拡散法による薬剤感受性検査は,経口抗菌薬の選択肢を増加させ経口スイッチを促進させる方法として有効であることが示唆された.