日本環境感染学会誌
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原著
血液培養陽性検体における迅速検査法の導入が臨床アウトカムに与える影響:12年間にわたる3時点での後方視的評価
池ヶ谷 佳寿子, 塩川 一樹, 谷藤 流空, 更谷 和真, 齋藤 敦子, 土屋 憲, 芦澤 洋喜, 増田 昌文
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2026 年 41 巻 2 号 p. 76-82

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抄録

菌血症診療では早期の起炎菌と薬剤耐性情報の提供が適切な抗菌薬選択に不可欠である.当院では,マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(Matrix-Assisted Laser Desorption/Ionization-Time-of-Flight Mass Spectrometry,MALDI-TOF MS)と薬剤耐性遺伝子検査を組み合わせた迅速検査法を導入した.本研究では,血液培養陽性検体に対する迅速検査法の導入が臨床アウトカムに与える影響を後方視的に評価した.

2010~2023年にStaphylococcus aureusまたは腸内細菌目細菌が単独検出された395症例を対象に,検査方法の異なる3期間に分けて,菌名報告までの時間,有効抗菌薬投与率80%到達時間,入院期間および30日以内死亡率の比較を行った.菌名報告までの時間の中央値は24.45時間から2.17時間(p<0.0001),有効抗菌薬投与率80%到達時間は40時間から21時間に短縮された(p<0.0001).入院期間の第3四分位値は15.5日の短縮がみられ,30日以内死亡率に有意差はないものの24.2%から14.5%に低下した(p=0.132).

MALDI-TOF MSや遺伝子検査などの迅速検査体制の充実が診療効率の改善に寄与する可能性がある.

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