環境感染
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抗菌加工繊維に用いられているKY-88の抗菌効果の検討
佐藤 清今井 高祐護白ヶ野 均小林 邦彦松野 一彦千葉 仁志齋藤 玲小川 良彦
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キーワード: 抗菌加工布, 感受性
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1996 年 11 巻 2 号 p. 101-109

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抄録

院内感染予防対策の一環として, 抗菌加工の白衣・予防衣等の使用が広まっている.我々はこの有効性を検討する目的で, 敷島紡積株式会社 (敷紡) が抗菌加工布に使用している抗菌物質 (KY-88, 60%溶液) について, 主な臨床分離株3菌種, 各10株を選択し計30株の感受性 (MIC) を測定して以下の成績を得た.Staphylococcusaureus500μg/ml (重量0.05%), Escherichia coli 900μg/ml (0.09%), Aeudomonasaeruginosa 500μg/ml (0.05%).一方, KY-88を繊維に加工した抗菌加工布とグルコン酸クロルヘキシジン0.05%の湿潤した布について抗菌効果を対比した結果, 抗菌加工布 (KY-88) では菌の発育が完全に抑制されたのに対して, グルコン酸クロルヘキシジンでは菌の発育が顕著に認められた.一方, 感受性株のうち, 無作為に1株ずつを選択して抗菌加工布 (KY-88) に塗布して, 細胞の形態変化およびPaeruginosaに対するbiofilmの形成など走査型電子顕微鏡 (電顕) で観察したところ顕著な変化が認められた.

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