環境感染
Online ISSN : 1884-2429
Print ISSN : 0918-3337
ISSN-L : 0918-3337
皮膚保護剤 (デルマシールド®) の皮膚保護および一過性菌の手掌付着防止効果
高橋 孝行辻原 佳人横溝 雄一定本 和恵森田 雅之坂爪 実夏柏木 ひさ子岡部 紀正桜井 磐松本 文夫
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 12 巻 3 号 p. 194-198

詳細
抄録

皮膚保護を目的として開発されたデルマシールド®は, 皮膚の角質層に保護層 (皮膜) を形成してほとんどの物質の浸透を遮断する.その機序は疎水性作用による水溶性化学物質の遮断と電荷を持たないためのイオン化物に対する反発遮断である.
これらの特徴を有する本皮膚保護剤について看護婦, 臨床検査技師を対象に医療業務中に使用することによる手掌での一過性菌の付着防止効果および手指洗浄・消毒に対する皮膚保護効果について検討した.
1.デルマシールド®(DS) 非塗布 (NDS) 群, 塗布 (DSU) 群での黄色ブドウ球菌IFD 12732の付着実験では, NDS群は平均435.3±42.9個であるのに対してDSU群のそれは平均244.7±16.7個で明らかに付着菌の減少を認め, DSの効果が確認できた (p<0.001).また, 大腸菌IFD 3972の検討でも同様の結果が得られた.
2.看護婦, 臨床検査技師でのNDS群, DSU群における医療業務中の細菌の手掌への付着率は, 両者のNDS付着を100に対して看護婦DSU群では37.4%, 検査技師DSU群では47.6%であり, NDS群に比べてDSU群で付着防止効果がみられた.
3.DSの洗浄, 消毒時の手荒れに対する皮膚保護効果をcross-over法で検討したところ, きわめて高い有効性と安全性が確認された.

著者関連情報
© 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top