環境感染
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新規第四級アンモニウム化合物の殺菌効果と防錆性
白石 正仲川 義人太田 伸長井 克浩全田 浩黒瀬 幹彦牧野 公博
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1999 年 14 巻 3 号 p. 216-222

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抄録

消毒剤は, 医療器具などの消毒を目的に医療現場において広く使用されているが, 殺菌効果のみならず消毒対象物に損傷を与えないことが条件となる.今回, 新規第四級アンモニウム化合物 (AD1, AD2およびT-2220) を合成し, その殺菌効果と防錆性を塩化ベンザルコニウム (BAC) のそれらと比較した・殺菌効果は, 11菌種の臨床分離菌を使用して接触時間を3分および10分とし, 清浄状態と2W/V%酵母液存在下で各薬剤を比較した.T-2220は各菌種に対してBACとほぼ同等の殺菌効果を有していたが, AD1およびAD2はBACに比べて, 殺菌効果が多少劣っていた.防錆性は鉄, 亜鉛, アルミニウム, 銅, ステンレス片を各薬剤に浸漬し, 経時的に96時間まで観察した.また, 歯科用スチールバー, カーバイトチップバーにつていは48時間まで観察した.鉄片, 亜鉛片, スチールバー, カーバイトチップバーに対して, T-2220はBACより防錆性に優れていた.これらのことから, T-2220の殺菌効果は, BACと同等, 防錆性ではBACより優れていることが認められた.

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© 日本環境感染学会
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