2000 年 15 巻 3 号 p. 247-251
酸性次亜塩素酸水の消化器内視鏡消毒への使用を検討する目的で, 食塩水の電気分解で調製した強酸性水, および塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで調製した酸性次亜塩素酸水の, Helicobacter pyloriに対する殺菌効果をin uitroにおいて比較検討した.また両消毒水を保存した際の安定性, 血清添加時の物性値の変動および金属に対する錆の発生について調査した.その結果, 両消毒水とも殺菌効果は同等で, また安定性, 血清添加時の物性値の低下および金属に対する錆の発生についても差異を認めなかった.すなわち, 酸性次亜塩素酸水は強酸性水と同様に内視鏡に対する消毒水として使用可能であることを確かめた.この酸性次亜塩素酸水は調製が非常に簡単で, 調製に必要な費用も強酸性水に比べて安価であり, 今後の利用価値は高いと考えられた.