環境感染
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15 巻 , 3 号
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  • 土井 まつ子, 仲井 美由紀, 藤井 洋子, 竹内 淑子, 林 美穂, 小川 真奈美
    2000 年 15 巻 3 号 p. 207-212
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1994年9月から1997年1月までの期間に院内の小児科病棟, 耳鼻科病棟, ICU病棟からそれぞれ異なる時期に分離されたMethicillin-resistantStaphylococcus aureus(MRSA)株について, コアグラーゼ型別試験, 薬剤感受性試験, SmaI酵素によるDNA切断片の電気泳動パターンを調べ, 病院内の菌株間の関係と菌の分布・伝播の状況について解析した. その結果, 小児科病棟と耳鼻科病棟では病棟に特徴的な菌株が分布しており, 病棟内における菌の伝播の可能性が推測された. 一方, ICU病棟からは多様な型を示す株が分離された.
    耳鼻科病棟処置室における環境調査では, 処置開始前にはMRSAが分離されなかったが, 処置終了後には室内空気, 処置用ユニット, 医療従事者の衣服などからMRSAが分離された. この結果は, 処置や診察時に患者の創部からMRSAが空気中に放出され, 環境中に菌が拡散されるという接触以外の菌の移行経路を示唆していた.
  • 山本 恭子, 桐村 智子, 鵜飼 和浩
    2000 年 15 巻 3 号 p. 213-219
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    強酸性電解水手洗いによる皮膚への影響を角質層表面の細胞変性と経皮水分蒸散量 (TEWL値) より検索し, 除菌効果と合わせて検討した.
    皮膚への影響について, 角質層表面の細胞変性をみると60秒3回の手洗いで強酸性電解水は水道水, ウェルパス®, ヒビスクラブ®よりも強い変性が認められたがTEWL値に変化はみられなかった.また, 強酸性電解水1回手洗いを15, 30, 60秒間で比較すると細胞変性は15秒間, 30秒間手洗いではいずれも60秒間と比較し軽度であった.しかしTEWL値は15, 30, 60秒間の手洗いでは変化は認められなかった.除菌率は15秒間手洗いで平均66.6%, 30秒間手洗いで89.5%, 60秒間手洗いで91.0%であり, 15秒間手洗いは30秒間, 60秒間手洗い群と比べ劣っていた.
    さらに, 臨床の場における手洗いを考慮し15秒間および30秒間手洗いを連続20回行うと, 両群とも細胞変性が認められたが, 15秒間手洗い群では48時間後, 30秒間手洗い群では72時間後に元の状態に回復した.TEWL値は30秒間手洗い20回終了直後に増加が認められたが24時間後には元の状態に回復した.
    以上の結果より, 強酸性電解水手洗いにおいて皮膚への影響を最小限に抑え, しかも除菌効果を得るためには30秒間の手洗いがもっとも適していると考えられた.また, 強酸性電解水手洗を頻回に行う場合には常に手荒れの可能性があり, 手荒れ予防対策を考慮する必要があろう.
  • 永井 勲, 関野 久之, 由良 明彦, 西嶋 攝子, 清水 喜八郎
    2000 年 15 巻 3 号 p. 220-229
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    健常成人男子の背部正常皮膚にOPB-2045液を塗布して, 正常皮膚適用時における有効性 (殺菌消毒効果) と安全性について, グルコン酸クロルヘキシジン (CHG) と比較した.
    有効性では, CHGの創傷部位などの非正常皮膚適用濃度である0.05%, 正常皮膚適用最高濃度である0.5%とOPB-2045液の殺菌消毒効果 (指数減少値) を比較した.OPB-2045液は試験した0.02%~0.2%において, 明らかに濃度依存的な殺菌消毒効果のあることが認められた. 消毒30秒後の殺菌消毒効果を比較すると, 0.05%CHGに比べて0.05%, 0.1%, および0.2%OPB-2045液の殺菌消毒効果は有意に高かった.また, 0.5%CHGに比べて0.2%OPB-2045液の殺菌消毒効果は有意に高く, 0.05%および0.1%OPB-2045液は0.5%CHGのそれとほぼ同程度であった.
    安全性では, 局所および全身の自覚症状・他覚所見, 生理学的検査, 安静時12誘導心電図および臨床検査を評価項目としたが, 治験薬と因果関係のある異常 (副作用) は認められなかった. しかし, 治験薬との因果関係が否定された臨床検査値の異常変動としては, OPB-2045塗布群では白血球数の上昇が2例, CPKの上昇およびトリグリセライドの上昇が各1例あった. また, CHG塗布群では血糖の上昇およびCPKの上昇が各2例, 白血球数の上昇, GPTの上昇およびLAPの上昇が各1例あった.
    以上のように, OPB-2045液の有効性および安全性が確認され, 本剤は新しい殺菌消毒剤として有用性が期待できる.
  • 小林 寛伊, 清水 喜八郎, 草地 信也, 大久保 憲, 石川 周, 宗田 滋夫, 吉川 幸伸, 永井 勲, 角村 純一
    2000 年 15 巻 3 号 p. 230-239
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    外科手術後の入院患者50名を対象に, 原則として手術創縫合後, 術後3日目, 7日目, および14日目の皮膚の手術創に0.05%OPB-2045液を塗布して, 皮膚の創傷部位適用時における有効性と安全性を検討した. なお, 有効性の副次的評価項目は手術創の感染の有無と創感染予防効果および細菌学的効果とし, これらを総合的に判定したものを主要評価項目とした.
    有効性総合判定では, 有効性解析対象47例のうち, 「有効と考えられた」のは28例 (59.6%) であった. 副次的評価項目では, 「細菌学的効果が認められた」のは術後3日目では47例中35例 (74.5%), 7日目では47例中29例 (61.7%), 14日目では18例中8例 (44.4%) であった. また, 手術創の感染の有無と創感染予防効果では, 「創感染なし」の症例は術後3日目および7日目ではいずれも47例中47例 (100%), 14日目では46例中45例 (97.8%) であった.
    本治験中での有害事象は臨床検査値の異常変動例のみであり, 安全性解析対象50例のうち18例39件あった.この臨床検査値異常では白血球数の中等度の減少が1例に認められたが, これ以外は軽度の異常変動であり, すべて治験薬との関連性が否定できないものはなかった. なお局所, 全身の随伴症状, および生理学的検査に関する有害事象はなかった. これらの結果から, 安全性総合判定では50例全例に本剤による副作用を認めなかった.
    また, 治験薬を塗布したそれぞれ30分後に血清中薬物濃度を測定したが, いずれの測定時点においても検出下限 (0.05ng/ml) 未満であった.
    以上のような有効性および安全性の結果から, 0.05%OPB-2045液は創傷部位の皮膚に適用できる新しい殺菌消毒剤であり, 創感染防止に有効であると結論する.
  • 清水 正樹, 奥住 捷子, 米山 彰子, 山田 恵子, 国定 孝夫, 折笠 義則, 八代 純子, 木村 哲
    2000 年 15 巻 3 号 p. 240-246
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    東京大学附属病院で環境または患者から分離されたBurkholderia cepacia 15株を用い, 各種消毒薬の効果を調べた.評価方法に問題のないことを確認するため, 不活化剤を用いた方法と, 不活化剤を用いず反応液を素早く希釈し, メンブランフィルターで消毒薬を除去する方法を比較検討した.またこれら試験結果から各種消毒薬に対し抵抗性を示す1株を選択し, biofilm形成状態の細菌を用い各種消毒薬の効果および消毒薬作用後の細菌の菌体内ATP量についても検討し, 以下の結果を得た.
    1. 試験系からの薬剤除去に関し, 不活化剤を用いた方法とメンブランフィルターを用いた方法で, 同様な結果を示し, 用いた不活化剤が試験系に影響せず, 方法の信頼性が高いことを確認したので, それ以後の実験を不活化剤を用いる方法で行った.
    2. ポビドンヨード (PVP-I) は全ての菌株に対して優れた短時間殺菌効果を示した.一方, 被験菌15株中に塩化ベンザルコニウム (BAC) または塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) に抵抗性を示す株が散見された.またグルコン酸クロルヘキシジン (CHG) に対しては全菌株が抵抗性を示した.
    3. Biofilm形成状態で消毒薬作用後の生菌数と菌体内ATP量の測定結果では, 使用消毒薬により結果が異なるものもあった.
  • H.pyloriに対する殺菌効果と金属腐食性および安定性
    大久保 耕嗣, 浦上 弘, 多村 憲
    2000 年 15 巻 3 号 p. 247-251
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    酸性次亜塩素酸水の消化器内視鏡消毒への使用を検討する目的で, 食塩水の電気分解で調製した強酸性水, および塩酸と次亜塩素酸ナトリウムで調製した酸性次亜塩素酸水の, Helicobacter pyloriに対する殺菌効果をin uitroにおいて比較検討した.また両消毒水を保存した際の安定性, 血清添加時の物性値の変動および金属に対する錆の発生について調査した.その結果, 両消毒水とも殺菌効果は同等で, また安定性, 血清添加時の物性値の低下および金属に対する錆の発生についても差異を認めなかった.すなわち, 酸性次亜塩素酸水は強酸性水と同様に内視鏡に対する消毒水として使用可能であることを確かめた.この酸性次亜塩素酸水は調製が非常に簡単で, 調製に必要な費用も強酸性水に比べて安価であり, 今後の利用価値は高いと考えられた.
  • MRSA陽性者, 保菌と感染の判定
    吉川 博子, 継田 雅美, 小田 明, 勝山 新一郎, 今井 由美子, 細川 孝子, 丸田 宥吉, 石崎 裕子, 青木 信樹, 藤井 青
    2000 年 15 巻 3 号 p. 252-258
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    MRSAが多くなった病院の感染対策のために,(1) MRSA陽性患者のベッド回転を良好にする,(2) MRSA感染症の患者の治療を確実にする,(3) MRSAを減少させるの3つの目標を掲げた.
    その結果, 第一の目標はMRSA陽性者を感染症患者と保菌者で区別することで達成された.第二の目標はバンコマイシン投与後の血中濃度を測定, および解析 (Therapeutic Drug Monitiring;TDM) の臨床応用, 治療への積極的介入を行うことで今後も改善が期待されている.
  • 継田 雅美, 飛田 三枝子, 山田 徹, 小田 明, 勝山 新一郎, 吉川 博子, 藤井 青, 丸田 宥吉
    2000 年 15 巻 3 号 p. 259-263
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内感染対策の一つとしてバンコマイシン (VCM) 血中濃度測定・解析を行い, その適正使用をはかることができた.VCM使用患者を薬剤部で把握し, 感染症専門医と連絡をとりTDMを行った.施行期間6ヵ月で19症例測定され, 17例に解析を行った.投与方法変更を提案したのは12例 (70.6%) であった.血中濃度測定・解析により早期に至適濃度に調整することが可能であり, 臨床上有用な例が多かったことから, 院内感染対策の立場からもTDMは必要であると思われる.
  • 大野 聖子, 佐藤 敬子, 片岡 恵子, 田中 結美, 小原 優子, 野田 あゆみ, 小島 広美, 細見 博子
    2000 年 15 巻 3 号 p. 264-268
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1995年と96年の公務災害に申請された針刺し・切創事故をEPINet日本語版を用いて解析を行った.それに基づき携帯型針捨て容器の導入, 病棟で使用する滅菌処置セットに滅菌済みの膿盆を組み込むこと, ゴム栓よりの真空採血用にルアーアダプターを採用などの改善を行った.原因器材としてディスポの注射器針, 翼状針, 留置針, 真空採血針の全体に占める割合は2年平均14件全体の65%から6件30%に減少した.携帯型針捨て容器はコスト的にも100床あたり月5000円程度で一般病院でもまず試みうる対策と考えた.
  • 小西 敏郎, 森兼 啓太, 西岡 みどり, 小林 寛伊, 埋田 聖子, 大久保 憲, 岡 裕爾, 粕田 晴之, 草地 信也, 向野 賢治, ...
    2000 年 15 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 2000/08/23
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    米国においてはCDC (Centers for Disease Control and Prevention) がNational Nosocomial Infection Surveillance (NNIS) Systemに則って確固たる病院感染サーベイランスが行われている.また欧州においても同様のsystemが構築されつつあり, 国家的な病院感染サーベイランスが行われている.しかし, 本邦においてはそのようなsystemは存在しない.このたび, 日本環境感染学会の事業として, 日本病院感染サーベイランス (Japanese Nosocomial Infection Surveillance;JNIS) システムを構築し, 9病院の参加を得て疫学調査を開始した.初年度として主に外科手術部位感染 (Surgical Site Infection;SSI) の調査を行い, その調査の結果をpilot studyとしてまとめ報告した.今後は日本環境感染学会のJNIS委員会として発展させ, 協力病院を拡大して疫学調査を継続しつつ, SSIだけでなく血流感染, 尿路感染など他の病院感染のサーベイランスも本格的に開始することにより, 日本の病院感染率に関するデータベースを構築する必要がある.そして, 適切なフィードバックを行い, 日本の病院感染率の低減につなげなければならない.
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