外科手術後の入院患者50名を対象に, 原則として手術創縫合後, 術後3日目, 7日目, および14日目の皮膚の手術創に0.05%OPB-2045液を塗布して, 皮膚の創傷部位適用時における有効性と安全性を検討した. なお, 有効性の副次的評価項目は手術創の感染の有無と創感染予防効果および細菌学的効果とし, これらを総合的に判定したものを主要評価項目とした.
有効性総合判定では, 有効性解析対象47例のうち, 「有効と考えられた」のは28例 (59.6%) であった. 副次的評価項目では, 「細菌学的効果が認められた」のは術後3日目では47例中35例 (74.5%), 7日目では47例中29例 (61.7%), 14日目では18例中8例 (44.4%) であった. また, 手術創の感染の有無と創感染予防効果では, 「創感染なし」の症例は術後3日目および7日目ではいずれも47例中47例 (100%), 14日目では46例中45例 (97.8%) であった.
本治験中での有害事象は臨床検査値の異常変動例のみであり, 安全性解析対象50例のうち18例39件あった.この臨床検査値異常では白血球数の中等度の減少が1例に認められたが, これ以外は軽度の異常変動であり, すべて治験薬との関連性が否定できないものはなかった. なお局所, 全身の随伴症状, および生理学的検査に関する有害事象はなかった. これらの結果から, 安全性総合判定では50例全例に本剤による副作用を認めなかった.
また, 治験薬を塗布したそれぞれ30分後に血清中薬物濃度を測定したが, いずれの測定時点においても検出下限 (0.05ng/m
l) 未満であった.
以上のような有効性および安全性の結果から, 0.05%OPB-2045液は創傷部位の皮膚に適用できる新しい殺菌消毒剤であり, 創感染防止に有効であると結論する.
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