環境感染
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健康学生鼻腔由来ブドウ球菌について
第一報mecA遺伝子保有MRSA・CNSの検出
石原 ともえ高橋 智恵子岡本 正孝小川 正之
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2001 年 16 巻 2 号 p. 125-130

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抄録
1993年から1998年の6年間に, 医療技術系学科に在籍した臨床実習未経験の157人の鼻腔よりStaphylococcus属菌を分離し, methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) およびmethicillin-susceptible S.aureus (MSSA) の分布を知るとともに, coagulase-negative staphylococci (CNS) についても若干の検討を加えた.対象とした学生のうち39人 (24.8%) からS. aureusを, また, ほぼ全員からCNSを分離した.
これらの分離株について5薬剤を用いて薬剤感受性試験を行い, さらにS.aureusと同定した菌株についてはコアグラーゼ型別および毒素産生試験を実施し, 薬剤感受性試験の結果とあわせて検討した.
以上の結果, われわれは健康学生の2人 (1.3%) からMRSAを, また, 8人 (5.1%) からmethicillin-resistant coagulase negative staphylococci (MRCNS) を検出し, このうちの一部からmecA遺伝子を確認した.この, MRSAを保菌する一人から, 近年, 院内感染で大きな問題となっているコアグラーゼII型でブドウ球菌エンテロトキシン (SET)-CおよびToxic Shock Syndrome Toxin (TSST-1) 産生株を分離した.
これらの健康者から検出したMRSAが, 院内感染から検出されるMRSAと同様の性状を示していることから, 院内感染と平行して菌交代現象, 内因性感染の面からさらに検討する必要があると考える.
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© 日本環境感染学会
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