環境感染
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訪問入浴サービスにおける入浴介護用品の汚染とPseudomonas aeruginosaの伝播
桜井 直美小池 和子
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2003 年 18 巻 4 号 p. 382-389

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抄録

要介護者の身体の清潔保持, 心身機能の維持・増進のために不可欠な訪問入浴サービスの需要は高まっているが, 易感染状態にある利用者に対する感染予防対策の整備は十分であるとは言い難い.そこで, 感染予防策立案のために環境感染学的な実態調査を行った.
調査対象として, 入浴水, 浴槽, 担架シート, マクラ, ネットとし, 各々入浴前後, 洗浄 (消毒) 後に検体を採取し, 37℃, 48時間培養後一般細菌数を算定した.
夏季の月曜日1件目の入浴水では入浴前に104CFU/mLの一般細菌が観察された.これは前日以前からの入浴水のボイラーへの汲み置きによるものであった.そこで, 業務終了後にボイラー内を全て排水し, 業務開始時に注水するように指導したところ, その後の調査では入浴前の入浴水から一般細菌は検出されなくなった.
入浴介護用品類では, 入浴後に102~103CFU/20cm2の一般細菌が検出されたが, 洗浄 (消毒) 後には101CFU/20cm2程度まで減少した.しかし, 全般的にPseudornonas aeruginosaの検出頻度が高く, IPM耐性株の割合が高かった.これらIPM耐性菌のDNA型を比較したところ, 由来が同一である株が2株存在した.また, 1件目のマクラからの分離株と, 2件目の入浴介護用品や入浴水より分離された株のDNA型に類似性が見られ, マクラを介してP.aeruginosaが伝播する可能性が示唆された.

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© 日本環境感染学会
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