環境感染
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血液培養から分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌におけるムピロシン耐性株の検出状況
野上 毅後藤 純子光武 耕太郎
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2003 年 18 巻 4 号 p. 390-394

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抄録

感染症原因菌に占めるムピロシン (MUP) 耐性MRSAの検出状況を把握するため, 国立循環器病センター細菌検査室で血液培養から分離されたMRSA171株 [MUP軟膏上市前53株39例 (1992年1月~1996年8月), 上市後118株98例 (1996年9月~2001年12月)] を対象として, ディスク拡散法によってMUP感受性試験を行った.検出されたMUP耐性株はパルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE) を用いてタイピングを行い, MUP耐性MRSAの伝播の有無について検討した.MUP上市前のMRSA53株 (39例) からはMUP耐性MRSAは検出されず, 上市後の118株のうち10株 (8.4%) がMUP耐性であり, 1999年に4株 (3例), 2000年に3株 (3例), 2001年に3株 (2例) が検出された.また, 10株 (8例) のMUP耐性MRSAのうち血液培養からMRSAが検出される以前にMUP軟膏の投与歴を持つMUP耐性MRSAは6株 (5例) であった.10株 (8例) のMUP耐性MRSAのPFGEタイピングでは大きく3つのタイプに識別され, 単一株による伝播は認めなかった.

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© 日本環境感染学会
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